気付いていなかったわけではないけれど。
 気にしないように装っていた、必死で。



   The one that shines there - side:bunny



 事実は唐突に告げられた。

―そいつはもう、いいパパだぞ

 知らなかった、そんなこと。

―いや、それは五年前にな

 知りたくなかった、そんなこと。

 今も彼の左手には銀の輪が光る。
 アルコールで緩んだ思考が、ぼんやりとそれを見つめる。

(何も、教えてくれなかったな)

 何も聞かなかったのは自分のほうだ。
 見て見ぬフリをして欲しかったのだろうか。
 それとも、言い出しにくかった?―こんな関係になって、なお?
 知る権利があるなどとのたまうつもりも、詰め寄るつもりもない。
 だけど、その事実を告げられたのが彼ではない、他人からということが引っ掛かる。
 できればどんな事実でも、彼の口から聞きたかった。
 彼自身の意思で。
 もし、こんな状況にならなかったら、彼はずっと隠し通す気でいたのだろうか。

(隠せるとでも?)

 ふいに、可笑しくなった。
 あんなに堂々と身につけておいて、気が付かないわけがない。
 気付いていないフリでもしなければ、いつ問い詰められてもおかしくない。

(本当にバカだ、この人は)

 否、自分もだ。
 ずっと隠せるはずのない事実を告げられていなかった。
―それは、
 彼が自分と共にいるのは、人生のほんの一瞬のことだと、ただの気の迷いでしかないのだと、無意識にそう言われている気がした。

(実際、気の迷いなんでしょうね)

 相手がいなくて、傍にいるのが自分好みの美人で、それが自分に好意を持っていると知ったから。
 男であること、それは彼にとって大した問題にならないようだった。
 バーナビーにとってもそれは一緒。
 だったら自分も、ただの一過性の感情によるものにすぎないのだと、割り切ってしまえば良い。

(それが、できないから)
(好きになってしまったんだから)

 こんな男を。

 自業自得も良いところだと自嘲する。
 これが、惚れた弱みということだろうか。
 惚れた方が負け、とは上手く言ったものだ。

 間接照明の中に浮かぶ銀が、きらりと光った。



to be continued...?













9話辺りのお話…虎徹が既婚者子持ちだった件について
一体何番煎じかっていうくらいだと思いますが…書きたかったので
タイトルはエキサイト翻訳なので正しいかは謎

なんか、続くらしいです